世界のパン作る、食べる。

食べたいものを作って食べる記録です。

わが家のサワードウ

サワードウという種類のパン種がある。

正確には、サワードウ(Sourdough)は直訳すると「酸っぱい生地」なので、種をさすならサワードウスターターと呼ぶべきかもしれない。

いわゆる天然酵母のひとつで、小麦粉と水を混ぜたところに自然に形成される微生物叢を、パンを焼くためのイーストの代わりとして活用するものだ。イーストという一種類の酵母だけでは出せない、乳酸や酢酸やその他が色々ごちゃごちゃ入った複雑な味わいをパン生地に与えてくれるのがその特徴だ。

 

去年手を出して以来、夢中になってせっせとスターターをお世話し、サワードウでパンを焼いている。

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↑最初のパンが焼けるまでの奮闘記

 

ツイッターではその経過をまとめたり、パンの写真やレシピを呟いたりしているけれど、作り方など、詳しく書くとツイッターにはどうにも長すぎるので、こうして記事にまとめてみることにした。 

 

スターターの起こし方と基本の使い方、管理方法について。あとついでに、何度も作るうちに、すっかりわが家で定番になったサワードウのレシピも置いておく。

サワードウのパンを作ってみたい誰かの役に立つといいなあ!

 

※ちなみに、このあと書くサワードウの起こし方や管理方法はPatrick Ryanさんの方法がベースになっているので、英語の読み聞きができる方はこちらの記事こちらの動画をご参照いただければ。

 

 

スターターの起こし方

材料:全粒粉500g、水500ml*1

道具:大きめの鍋、1Lくらいの容量のガラス瓶、スプーン*2

その他必要なもの:寒くない気温(20℃くらい)、7日間連続1日10分のお世話

 

  1. ガラス瓶を煮沸消毒する。鍋に瓶が完全に浸かるくらいの水(分量外)と瓶を入れて湯を沸かし、数分煮て取り出せばOK。
  2. 瓶に全粒粉50g、水50gを入れてよく混ぜる。軽く蓋をして常温で12〜24時間置く。
  3. 瓶に全粒粉50g、水50gを加えてよく混ぜる。軽く蓋をして常温で12〜24時間置く。
  4. 瓶から100gのスターター候補生を取り出し、残りに全粒粉100g、水100gを加えてよく混ぜる。軽く蓋をして常温で12〜24時間置く。*3
  5. 瓶から200gのスターター候補生を取り出し、残りに全粒粉100g、水100gを加えてよく混ぜる。軽く蓋をして常温で12〜24時間置く。
  6. 瓶から200gのスターター候補生を取り出し、残りに全粒粉100g、水100gを加えてよく混ぜる。軽く蓋をして常温で12〜24時間置く。
  7. 瓶から200gのスターター候補生を取り出し、残りに全粒粉100g、水100gを加えてよく混ぜる。軽く蓋をして常温で12〜24時間置く。
  8. 粉と水を混ぜてから6時間くらいで2〜3倍に膨らむようになって、スターターをスプーンですくって水に落とした時に浮くようになれば、完成!

だいたい作り始めて5日もすると、混ぜて数時間でかさが増し、全体に細かい泡が出て、イーストのような甘い匂いやヨーグルトや酢のような酸っぱい匂いがするようになって、おおよそスターターとして使えるようになってくる。発酵のピーク(かさが一番増えた時)に水に浮くか確かめて、大丈夫なら7日目を待たずに使い始めてOK。

 

スターターの使い方

  • 完成したスターターは、ドライイースト5gの代わりにスターター100gで置き換えられる。レシピからスターターに入っている粉と水の分量を減らすことを忘れずに。
  • スターターがパンを膨らませられるだけ元気な状態になるよう、パン生地をこね始める3〜6時間前にフィーディング(給餌。小麦粉と水を混ぜること)をする。その際の分量はスターター:粉:水=1:1:1が基本。つまり、スターターが100gなら粉100gと水100gを加える。
  • スターターはイーストよりずっと発酵に時間がかかる。だいたい3倍〜くらい。発酵のスケジュールを考えてからパンを作り始めると良い。

 

スターターの維持管理

  • パン作りに使う使わないに関わらず、スターターの健康を維持するために、常温なら1日に1度、冷蔵保存なら1週間に1度フィーディングする。
  • フィーディングせずに放置すると元気が無くなっていき、パンを膨らませる力がなくなるだけでなく、最終的には雑菌が入って使えなくなってしまう。少なくとも、常温なら3日に1度、冷蔵保存なら2週間に一度くらいはフィーディングした方がいい。*4
  • 使わないときは冷蔵保存できる。冷蔵庫に入れる前にフィーディングして、乾燥防止のために容器の蓋を閉めて仕舞う。使うときは冷蔵庫から出し、常温で一晩置いてからフィーディングする。 
  • フィーディングに使う粉は全粒粉、強力粉、薄力粉、ライ麦粉、だいたい何でもOK。粉によってスターターの状態=生地の味が変わるので色々試してみると吉。*5
  • 水は水道水でOK。ミネラルウォーターでももちろん大丈夫。 

 

わが家のサワードウ

材料:強力粉200g、全粒粉25g、ライ麦粉25g*6、スターター100g、塩3g、水140〜160g*7、餅とり粉

道具:ボウル、ラップ、土鍋(6号)、蒸し布、ビニール袋、オーブン、耐熱の蓋つき鍋、ベーキングシート、まな板、クープナイフ*8、網

作り方

  1. こね始める6時間くらい前にスターターにフィーディングする。(スターター50g、強力粉・全粒粉50g、水50g。粉の割合は適当。余りの50gをスターターとして残す。)
  2. 餅とり粉以外の材料を全てボウルに入れ、手でざっと混ぜて作業台に出す。まとまって手につかなくなってくるまでこねる。
  3. 生地を丸めてボウルに入れ、ラップをかけて常温で発酵させる。心持ちふっくらしてくるまで、3〜4時間くらい。
  4. ガスを抜くように生地を丸め直し、ラップをふんわりかけて10分くらい置く。
  5. 土鍋に蒸し布を敷き、餅とり粉をふる。
  6. 生地の表面を張らせるように丸めなおし、餅とり粉を表面に軽くふる。綴じ目を上にして土鍋に入れる。ビニール袋を生地につかないようにかけ、常温で1〜2時間、その後冷蔵庫で6時間〜発酵させる。
  7. オーブンに耐熱の蓋つき鍋を入れ、250℃に余熱する。
  8. 冷蔵庫から出した生地にベーキングシートを乗せ、その上にまな板を乗せて、土鍋ごと天地を返す。生地を潰さないようすぐに土鍋を外し、蒸し布をそっと持ち上げて取り除く。
  9. クープナイフで生地に切れ目を入れる。オーブンから蓋つき鍋を出してベーキングシートごと生地を入れ、蓋をしてオーブンに戻す。250℃で20分焼く。
  10. 20分経ったら蓋をとって、230℃にオーブンの温度を下げ、15分焼く。
  11. 焼きあがったらパンを鍋から取り出し、網の上に置いて冷ます。焼き上がり翌日くらいが一番美味しい。

 

↑こんなパンができる。

一番美味しい食べ方は、1センチ厚くらいに切ってトーストしてバターを乗っけるやつ。

フルーツやナッツを入れて作っても美味しい。

 

 

 

 

 

 

 

*1:水道水は微生物の繁殖を妨げそうな感じがするんだけど、意外と問題なく立ち上がりました。気になる方はミネラルウォーターで。

*2:半分の材料と容量半分の瓶でもできます。でも、量が多い方が環境が安定しやすいから、楽だと思う。

*3:取り出したスターター候補生は卵と牛乳、砂糖を加えてパンケーキにするとおいしい。よく火を通すこと。

*4:フィーディングをせずに放置しすぎた場合の対処については、このウェブサイトが大変詳しい。

Sourdough starter troubleshooting | King Arthur Baking(英語)

*5:複数の粉を混ぜるときは重量の合計がスターターと水と同じになるようにする。

*6:各粉の分量は適当でOK。合計で250gくらいになれば良い。

*7:水の量は粉の状態や、ネッチョリした生地を扱う技量に応じて調整を。

*8:クープナイフはカミソリの刃に削った割り箸をつっこんだものを使ってます。